大人の塗り絵コンテストの受賞作品を見ると、「自分にはまだ無理かもしれない」と感じることがあるかもしれません。
何層も色を重ねた繊細な作品、思い切ったアレンジを施した作品、見る人の心に残る物語を感じさせる作品。どれも魅力的ですが、受賞者も最初から自分らしい表現を見つけていたわけではないはずです。
好きな一枚を選び、最後まで塗ってみる。次の一枚では、前回より少しだけ違う色や塗り方を試してみる。その積み重ねの先に、応募してみようという気持ちや、受賞を目指せる自分だけの作品が育っていきます。
この記事では、大人の塗り絵コンテストの受賞作品から見えてくる魅力を手がかりに、初心者が楽しみながら表現を深めていく道のりを紹介します。
受賞作品から学ぶ、「初心者」から「受賞者」になるための道のり

大人の塗り絵コンテストでは、細密な技術だけが評価されるわけではありません。
河出書房新社の第20回大人の塗り絵コンテストでは、「超絶テクニック賞」だけでなく、発想の面白さやオリジナルの表現、クラフト的な工夫、作品に込められた思いに目を向ける賞も設けられていました。
つまり、受賞を目指す道は一つではありません。見本に忠実に塗り込む人もいれば、色使いや背景の工夫で自分の世界を作る人もいます。
まずは受賞作品を「自分にはできない作品」として眺めるのではなく、「こんな楽しみ方もある」と知るためのヒント集として見てみましょう。
最初の一歩は、上手に塗ることより「好きな一枚」を選ぶこと

初心者が最初に目指したいのは、受賞作品のような完成度ではありません。
「この花が好き」「この風景を塗ってみたい」「果物の色をきれいに出してみたい」。そんな気持ちで選んだ図案を、一枚最後まで完成させることが大切です。
一枚を塗り切ると、自分が好きな色、じっくり時間をかけたい部分、難しいと感じる部分が見えてきます。その発見は、次の一枚を自分らしくするための大事な材料です。
受賞を急ぐよりも、「完成させる楽しさ」を何度も味わうこと。その経験が、作品の土台になります。
二歩目は、受賞作品を「正解集」ではなくヒント集として見ること
受賞作品を見るときは、自分の作品と比べて落ち込むためではなく、表現の幅を知るために見てみましょう。
色を何度も重ねて立体感を出す作品もあれば、現実にはない大胆な配色で印象を残す作品もあります。背景まで丁寧に仕上げる人、図案に季節や時間帯の雰囲気を加える人、画材や素材を工夫する人もいます。
気になる作品を見つけたら、「何が好きなのか」を一つだけ考えてみてください。
- 花びらの色の重なり方が好き
- 空や背景の色がきれい
- 光が当たっているように見える
- 元の図案を自分らしく変えている
- 見ていると明るい気持ちになる
一度にすべてを真似する必要はありません。次に塗る一枚で、一つだけ試してみる。それだけでも、作品づくりは少しずつ変わっていきます。
三歩目は、薄い色から重ねて試す回数を増やすこと
色鉛筆で塗る場合は、最初から濃く塗り込むよりも、淡い色を軽く重ねながら進める方法がおすすめです。
薄い層から始めると、途中で「もう少し明るくしたい」「別の色を重ねたい」と思ったときに調整しやすくなります。明るい部分を少し残し、影になる場所へ少しずつ濃い色を足していくと、花びらや果物、風景にも自然な立体感が出てきます。
これは失敗を避けるためだけの方法ではありません。自分の好きな色や、似合う組み合わせを試す余地を残すための方法です。
「思った色と違った」と感じる一枚も、次の作品に生かせます。試した回数が増えるほど、自分らしい塗り方は見つかりやすくなります。
四歩目は、見本どおりに塗れないことを個性に変えること
見本と同じように塗れないことは、失敗とは限りません。
空を夕焼けにする。花を現実にはない色にする。背景に春らしい緑や、夜の静けさを加える。こうした選択は、その図案を自分だけの一枚にする表現です。
もちろん、見本を参考にしながら色の置き方を学ぶのも楽しい方法です。ただ、見本から少し離れたときにこそ、「自分はこんな雰囲気が好きだったんだ」と気づくこともあります。
受賞作品の中にも、技術だけでなく、配色やアレンジ、見る人に伝わる楽しさが印象に残る作品があります。自分の好みを作品に入れていくことは、受賞を保証するものではありませんが、作品の個性を育てる大切な一歩です。
五歩目は、完成した作品を見返して次の一枚につなげること
一枚を塗り終えたら、すぐに「うまくできなかった」と片付けず、少し時間を置いて見返してみましょう。
気に入った部分、もう少し工夫したかった部分を、それぞれ一つずつ見つけます。
- 花の中心は思ったよりきれいに塗れた
- 次は葉の色を二色以上重ねてみたい
- 背景にも薄い色を入れてみたい
- 影を入れる場所をもう少し意識したい
こうした小さな振り返りを続けると、自分が目指したい表現の方向が少しずつはっきりします。
受賞者になるために必要なのは、特別な技法を一度にたくさん覚えることではありません。完成作を重ねながら、自分の作品を見つめ、次の一枚で少し試してみることです。
コンテスト応募前の練習に使いやすい塗り絵
受賞作品のような完成度をいきなり目指すのは、少しハードルが高く感じるかもしれません。そんなときは、まず練習用の一枚を選んで、配色や濃淡のつけ方を試してみるのもおすすめです。
ぬりえ王国には、色の組み合わせを試しやすい曼荼羅ぬりえや、花びらのグラデーションを練習しやすいボタニカル系、作品の雰囲気づくりを楽しめるアート系塗り絵があります。コンテスト応募前の肩慣らしとして、気になる一枚から試してみてください。
初心者が最初に用意したいもの
本格的な画材を最初からすべてそろえる必要はありません。まずは、自分が気持ちよく続けられる道具を用意しましょう。
塗りやすい図案
細かすぎる図案よりも、花・果物・風景など、面積にゆとりがある題材から始めると色を重ねる練習がしやすくなります。
「難しそうだから上達できそう」という理由より、「塗っていて楽しそう」と思える題材を選ぶことがおすすめです。
好きな色が入った色鉛筆
初心者の場合、色数の多さよりも、使ってみたい色がそろっていることが大切です。明るい色、少し暗い色、肌や葉に使えそうな中間色があると、重ね塗りを試しやすくなります。
画材に正解はありません。色鉛筆、水彩色鉛筆、クレヨンなど、自分が扱いやすく、塗っていて楽しいと感じるものを選びましょう。
試し塗りができる紙
いきなり図案に塗り始めず、余った紙に色を試すだけでも安心感が変わります。
「この二色を重ねるとどうなるか」「力を強くするとどれくらい濃くなるか」を少し確認してから始めると、図案の上でも落ち着いて色を選べます。
応募を目標にするなら、作品を楽しむ時間を大切にしよう
コンテストに応募すると決めると、「うまく塗らなければ」「受賞できる作品にしなければ」と力が入りすぎることがあります。
けれど、大人の塗り絵の魅力は、完成度だけではありません。色を選ぶ時間、少しずつ絵ができあがる時間、完成した一枚を眺める時間そのものが、作品づくりの楽しさです。
第20回大人の塗り絵コンテストの選考基準では、「塗り絵をいかにお楽しみいただけたか」が掲げられていました。受賞作を目標にすることと、楽しんで塗ることは対立しません。自分が楽しいと思える工夫を重ねた作品こそ、その人らしさが伝わる一枚になります。
まずは好きな題材から、一枚完成させてみてください。その一枚が次の挑戦につながり、いつか「応募してみようかな」と思える作品を育ててくれるはずです。
応募前には、最新の募集要項を確認しよう
応募したい作品ができたら、対象作品、締切、応募方法、作品の返却条件などを必ず公式要項で確認しましょう。
大人の塗り絵コンテストの募集時期や対象作品、応募条件は回ごとに変わる可能性があります。応募に必要な情報は、以下の記事でまとめています。
大人の塗り絵コンテスト2026|応募条件・出品料・対象作品・受賞作品を解説
※本記事は2026年7月時点で確認した情報をもとにしています。コンテストの募集状況・応募条件・賞の内容は変更される場合があります。応募前には必ず主催者の公式案内をご確認ください。





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